オークションハウスの魅力と実態Vol.1~毎日オークション下見会編~
はじめに
近年、時計や車、ホビーやメダカなどあらゆるものがオークションで競りにかけられ、その落札額が話題となっている。
長らく経営してきた会社を譲渡できて、時間に余裕のできた譲渡オーナー(日本М&Aセンターの仲介で会社を譲渡した元経営者)の中には「昔集めたかった物を蒐集してみるか」、「○○○のシリーズについて今まで蒐集してきたけど、本格的に揃えてみるか」など、コレクター魂に火が付く方も少なくない。
簡単に手に入る物であればネットショッピングなどで十分だが、きっと読者である譲渡オーナーの皆様が本当に手に入れたい物はそんな物ではなく、高価だけれども「価値ある本物」ではないだろうか。
そうした物を手に入れたい場合どうしたらよいのか。コレクター仲間や知り合いが多ければ中には譲ってくれる人もいるだろうが、基本的には「オークション」で手に入れるしかないのではないか。
一般の人にとって身近なオークションと言えば「ネットオークション」だろう。時間を問わずいつでも参加できる。しかし、ネットでの取引は、贋作を掴まされることがしばしばある。やはり価値ある本物を手に入れたいならば、きちんとしたオークションハウスが介在したリアルなオークション会場で入札し、手に入れるほうが確実だ。
ただ、リアルなオークションは「敷居が高い」、「ベールに包まれているような感じでよく分からない」といった印象があるかと思う。
そこで、本記事では国内最大手のオークションハウスである株式会社毎日オークションについて簡単に紹介するとともに、ネクストクラブONLINE編集部は実際にオークションが開催される前日の同社の「下見会」の様子を取材してきた。そもそも下見会とは何なのか、オークション参加までの流れに触れつつ、その模様をレポートする。
毎日オークションってどんな会社?
毎日オークションは年間取扱高80億以上、市場落札額シェア約36%(2022年3月『月刊美術』「2021年美術品競売主要11社落札総額シェア率」)と国内で業界トップの企業だ。
同社は1973年に創業、そして1989年にオークションを開催し、以来30年以上に渡って世界の2大オークションハウス、サザビーズやクリスティーズといった欧米大手オークション会社と全く同じ業態で運営している老舗企業である。
取扱カテゴリーと年間の開催数
取扱カテゴリーはメインの「絵画・版画・彫刻」「新作工芸・古美術・茶道具」「西洋装飾美術」「宝石・時計」の4ジャンルに加え、ART&DESIGN(デザイン性の高い作品を合わせた複合ジャンル)やワインウイスキーオークション、ブランド(Hermès、CHANEL等)オークションと幅広く、レギュラーオークションで年間30回以上、比較的高価格帯の物が出品されるスペシャルオークションで年4回程度開催されている。
オークション参加から作品引き渡しまでの流れ
実際のオークションへの参加から作品引き渡しまでのプロセスは
① 出品作品を確認
② 下見会に行く
③ 参加登録・入札
④ 落札
⑤ お支払い
⑥ 作品引き渡し
となる。
参加にあたっては、まずは①出品作品を確認する必要がある。
確認の方法としては、同社の開催スケジュール(https://www.my-auction.co.jp/schedule/)から検索するか、カタログ冊子で確認できる(初回は無料で送付〔https://www.my-auction.co.jp/catalog/input〕、その後はカタログ会員〔有料〕)。
またお気に入りの作家名を同社のWEBサイト(https://www.my-auction.co.jp/creater_mail)から登録すれば、オークション出品時にメールで知らせてくれる。
本記事のメインである②の下見会については後述する。また③以降の実際のオークション会場での参加、入札方法等については、またの機会に譲ることとし、本記事では割愛する。
当日の下見会の様子
下見会の会場に足を運ぶとまず目に入ってくるのが、壮大な美術品の数々だ。この日は第745回毎日オークションの前日で「絵画・版画・彫刻」が展示されていた。
下見会はオークション開催の2~3日前に同社(東京・有明)で開催される。下見会の参加は任意であり、オークション参加にあたっての必須条件ではない。しかし、下見会の会場には作品に精通している同社のスタッフが常駐しているので質問や相談したいことがあればその場で回答してくれるし、案内もしてくれる。不安な点があればオークション開催前までに解消しておくとよいだろう。
ちなみに「作品の状態に関すること」や「どのくらいの金額まで競りそうか」、「出品の相談」、「業界動向」などについての質問・相談が多いそうだ。
下見会参加にあたっては特に予約も必要ない。ぶらっと立ち寄って作品を気軽に見ることもできる。入退場は自由だ。料金も勿論かからない。
また、他の来場者の妨げにならなければ来場者同士の会話は可能である。会場での飲食は作品保護の観点から流石にNGだ。
来場者は国内外の個人コレクターをはじめ、経営者や士業、サラリーマン、美術品に精通している常連の人もいれば、そうでなくぶらっと立ち寄るだけの人もいたりと様々だ。中には美術品のバイヤーが自社で販売するために、仕入れのために来場することもある。また、子供と来場しても問題ない。ペットはNGだ
下見会は2日間行われ、200名程度が来場する。
各作品には著作者と出品番号等が記載された札が近くに置いてあり、「〇〇〇~〇〇〇円」といった金額が表示されているが、これはあくまで予想落札価格であり、実際には超えてしまうケースもよくあることに注意だ。また実際に各作品を手に取ってみることも可能だ。スタッフに希望すれば額を開封して確認することもできる。
ネットオークションだとどうしても画面越しの確認になってしまうが、下見会であれば実際に手に取って表も裏も斜めからも自分で見たい角度から作品を見ることができる。
また、インターネットだとCtoCなので、流通している贋作を購入してしまうケースもある。しかし、同社では専門のスタッフが検品・査定をしているため贋作の懸念が少なく安心できる。
おわりに
いかがだったであろうか。下見会場ではその場で入札ができる用紙に出品番号と入札限度額等を記載してスタッフに渡しておけばオークション当日に代理で入札してくれる(勿論いきなり限度額上限で入札することはない。また、入札書に記載しなくても帰宅してからWEB入札という方法もある。)。ネットではないリアルなオークションハウスにはスタッフのきめ細やかな心配りがある。
「家の壁に飾るものがほしい」、「珍しいものを蒐集したい」といった軽い気持ちで参加してOKだ。美術品に詳しくなくてもスタッフの方が手厚くサポートしてくれる。
是非、欲しいジャンルの作品があれば、定期的に同社WEBサイト等をチェックして自分に合った作品を見つけてほしい。素敵な作品に囲まれ、より豊かな人生を送られることを願っている。
〈参考:オークションの実際の様子(同社Instagram抜粋 https://www.instagram.com/reel/CoWy7_cpHPP/)〉
〈競り幅表〉
価格帯(円) | 競幅(円) |
-10万円 | 5000円 |
10-30万円 | 1万円 |
30-60万円 | 2万円 |
60-100万円 | 3、2、3、万円 |
100-200万円 | 5万円 |
200-300万円 | 10万円 |
300-600万円 | 20万円 |
600-1000万円 | 30、20、30、万円 |
1000-2000万円 | 50万円 |
2000-3000万円 | 100万円 |
3000-6000万円 | 200万円 |
6000万円-1億円 | 300、200、300、万円 |
1億円- | 500万円 |
【参考】
・毎日オークションHP(https://www.my-auction.co.jp/)
・毎日オークションFacebook(https://www.facebook.com/MainichiAuctionJP/)
・毎日オークションInstagram(日本版)(https://www.instagram.com/mainichi_auctionjp/)
・毎日オークションInstagram(海外版)(https://www.instagram.com/mainichi_auctiongl/)
▶続きはコチラ「オークションハウスの魅力と実態Vol.2~毎日オークション「参加・入札」編~」