オークションハウスの魅力と実態Vol.2~毎日オークション「参加・入札」編~

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 2023年10月28日、国内最大手のオークションハウスである株式会社毎日オークションは「第760回メインセール(絵画・版画・彫刻)」を開催した。

 会場は同社本社が入居する東京都江東区有明で、JR・りんかい線国際展示場駅から徒歩3分の立地であるTOC有明ウエストタワーの5階だ。

 前回の記事ではオークション本番前に開催される「下見会」について、レポートし、その模様をお伝えした。

 そこでネクストクラブONLINE編集部は今回、実際にオークション会場に伺いその様子を取材してきた。リアルオークションへの参加は「興味はあるが、なんだか敷居が高い」「勝手が分からず不安」と感じている方も多いことだろう。本記事がそんな不安を払拭できれば幸いである。

 今回参加したメインセールは比較的高価格帯の作品が出品されるスペシャルオークションだった。メインセールは年4回程度開催されている。

 実際のオークションへの参加から作品引き渡しまでのプロセスは
 ① 出品作品を確認
 ② 下見会に行く
 ③ 参加登録・入札
 ④ 落札
 ⑤ お支払い
 ⑥ 作品引き渡し
である。

 上記①と②については、前回の記事でお伝えしたため、今回は③の「参加登録・入札」について、レポートする。

 なお、オークションへの参加にあたっては、当日参加の場合、ⅰ会場で直接参加、ⅱWEB(ライブビッド)で同時参加、ⅲ電話での同時参加の3種類がある。また、ⅳ事前委託入札という方法もある。

 本記事では上記ⅰに絞ってレポートすることとする。

 オークション会場に準備なしに直接行っても参加は可能だが、当日の手続きに若干の時間がかかるため、事前に準備しておいた方が良い。入札方法に関わらず、オークションに参加するためには会員登録が必須だ。会員の種類は、有料の総合会員、ジャンル会員、WEB会員の他、参加に特化した無料のビジター会員がある(参考:https://www.my-auction.co.jp/member/)。

 総合会員、ジャンル会員には事前に入場券を送付しており、そちらを持参し、受付に提出すれば、その他、必要な持ち物はない。

 入場券がない会員は当日受付にて所定の手続きをすれば、オークション会場へ参加できる。その際、身分証明書を提示する必要があるため、忘れずに持参されたい。

 なお、付き添いの方は手続きは不要だ。付き添いの人数に制限はないが、席数に限りがあるため、大勢で行く場合は事前に連絡した方が良い。

 服装については、ドレスコードの指定も特にない。実際の参加者の服装も、スーツやオフィスカジュアルなど様々であった。

 入場にあたっては、乳児や就学未満の子供を連れてきても問題ない。ただペットは作品保護の観点からNGだ。また会場はバリアフリーだ。万が一、困った際はスタッフに声を掛ければ親身に対応いただけるため、障害のある方でも家族皆で参加できる。

 当日は入退場は自由だ(自由席。事前に席を予約し、確保することも可能)。そのため、オークションが開催中であれば受付締切時間はない。希望の作品の競りに合わせて、会場に向かえばよい。1作品の落札までにかかる時間は競りの状況によって異なる。通常のオークションの場合だと、1時間で100~150ロットのペースで進行する。希望の作品が競りに掛けられるまでを逆算して入場されるとよいだろう。ただしオークションの進行によって時間は前後するため、余裕を持って入場した方が良い。なお、出品の順番はカタログに記載のロット順である。

 入札の際に挙げる「番号札」や作品を落札した場合に記入する「落札作品受取方法指示書」や非常口の案内等が配付される。また、カタログに記載の内容に変更が生じた場合、訂正表も配付される。なお、訂正表は同社ホームページ上からでも確認できる。

 入札にあたっては、配布された番号札を上げ続ければよく、ドラマやアニメ等で見るハンドサインを覚える必要はない。競り幅は下図のとおり、価格帯によって異なるので、留意しておこう。

価格帯(円)競幅(円)
-10万円5000円
10-30万円1万円
30-60万円2万円
60-100万円3、2、3、万円
100-200万円5万円
200-300万円10万円
300-600万円20万円
600-1000万円30、20、30、万円
1000-2000万円50万円
2000-3000万円100万円
3000-6000万円200万円
6000万円-1億円300、200、300、万円
1億円-500万円
※原則として、表の通り競り上がる。ただし、オークションの進行上、オークショニアの裁量で変更となる場合がある。

 ジャンル、出品数、開催日数などによって異なるが、おおよそ6時間程度でオークションは終了する。参加者はおおよそ300~400名程度で国外からも参加者がいる。長時間にわたるため(通常オークションの場合、800前後のロットとなるケースが多い)、参加者全員がずっと会場にいるわけではない。希望の作品が競りに掛けられるときだけ、参加する方が圧倒的に多かった。
 ちなみに開催ジャンルによって異なるが、WEB(ライブビッド)、入札(電話含む)、会場の参加者の割合はおおよそ6:3:1だ。

 番号札を挙げ続け、競りに勝てば無事に落札だ。請求額はハンマープライス(オークショニアが認定した最も高額な入札価格)+手数料(16.5%)だ。
 価格帯にもよるが、海外のオークションハウスは大体手数料が20%程度なので、同社でお目当ての作品があったら競り落とせば割安と言える。

 ネットオークションとは異なり、オークションハウスが介在しているオークションでは専門スタッフによる検品や鑑定がなされた作品が出品されているため、基本的に贋作はない。ただ万が一、贋作だったとしても、同社の規約に則り、購入代金は返金されるため、安心だ(規約: https://www.my-auction.co.jp/pdf/term.pdf)。

 いかがだったであろうか。下記が競りの実際の様子だが、競りがヒートアップする様は大変刺激的であり、正にオークションの醍醐味と言える。この時、ここでしか手に入らない作品、歴史の教科書に出てくる作品といった一生に一度出会えるか否かの作品も多数出品される。是非、少しでも興味のある方は同社に会員登録いただき、定期的に配信される情報に目を通していただきたい。本記事の読者がチャンスを逃さず、素敵な作品を手に入れ、より豊かな人生を送られることを願っている。

〈実際の競りの様子〉

【参考】

・毎日オークションHP(https://www.my-auction.co.jp/