会社を売って海外へ行こう!~富裕層向け海外生活と海外不動産のトレンド【第3回】会社譲渡後の新ビジョン

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 2023年10月13日(金)、GINZA SIX(東京都・銀座)にて株式会社ネクストナビは「会社を売って海外へ行こう!~富裕層向け海外生活と海外不動産のトレンド」というテーマで、セミナーを開催した。

 今回のセミナーは、全3部構成である。

 第1部は、昨年発売され、ベストセラーになった書籍『日本のシン富裕層』( 朝日新聞出版)の著者であり、2万人以上の海外移住や長期滞在に関する相談を受けてきた株式会社アエルワールド代表取締役社長の大森健史氏が「シン富裕層の海外生活」というテーマで講演した。

 第2部ではアメリカ不動産販売実績3年連続 No.1の株式会社オープンハウスより、「海外不動産を保有するメリット」と題して、同社のウェルス・マネジメント事業部東日本エリア統括の齋藤新氏が講演した。

 第3部では株式会社ネクストナビの代表取締役社長の雨森良治が司会進行役として第1部の講師である大森氏と第2部の講師である齋藤氏とともに、「会社譲渡後の新ビジョン」をテーマにパネルディスカッションを実施した。

 本記事では第3部についてレポートする。

【全3回の目次】
第1部:シン富裕層の海外生活

第2部:海外不動産のメリット
第3部:会社譲渡後の新ビジョン

最近の経営者の会社譲渡事情

 雨森氏によれば、2019年以降で日本M&Aセンターで会社を譲渡した経営者1,245名のオーナーの年齢を確認すると昔は圧倒的に70代以上が多かったが、近年は40代、50代の若い経営者が増えてきた、とのことだ。若い経営者はサッと会社を売却して多額の譲渡対価(譲渡対価の平均は4億2,000万程度)を手に入れ、第2の人生を謳歌する、そんなケースが多くなってきたそうだ。

 会社を売却する際は、法人における手続きだけでなく、個人の相続税や不動産など様々な検討項目を同時に検討していかなければならない。今後日本国内で少子化が更に進み、人口が減少していくことを考慮すると「海外」に目を向けていく必要がある。

 雨森氏は「個人の資産の保全や経営の観点においても『海外』をキーワードに、必要な情報やモノを取り入れていかないといけない、そんなタイミングに日本は既になっている」と語る。

 以下、パネルディスカッションの模様を掲載する。

ハワイのリッツ・カールトンは区分所有できる!

雨森氏:第2部のお話で紹介いただきましたハワイのリッツ・カールトンについてですが、区分所有はできないと思っていました。以前から販売されていたのでしょうか。

齋藤氏:以前から販売させていただいております。もしかしたら売り物がないタイミングでお探しになられていたのかもしれないですね。

雨森氏:経営者の方は特に興味のある物件じゃないかなと思いますけれども、私も何度か泊まりましたが、非常に良いホテルでした。あれが区分所有できたら非常に嬉しいですね。

テキサス州の不動産の魅力

雨森氏:自動運転のEV車で有名なテスラが本社をテキサス州に移転しましたね。イーロンマスクさんも住んでいますよね。

齋藤氏:はい、住んでいます。私どもの取扱いエリアは、テキサス州のダラスとヒューストンですが、イーロンマスクさんがテキサスへ移住すると言い始めたのが、今から半年~1年位前でしょうか。

背景にあるのは、テキサス州という州自体が法人税0%という州になりますので、例えば日系の企業ですとトヨタも本社を移転したのが2016年の後半から2017年頃にかけての頃で、NTTデータも自社ビルが建てたり、オリックスもダラスに本社を移転したりと、日系の企業が多くテキサス州に移転しています。なので人口も増えて、物件価格も上がっていくという、そんな良いサイクルになっています。

雨森氏:はい、ありがとうございます。私もアメリカの公認会計士をデラウェア州で取得した際、州ごとに税法が異なり、試験も州毎に違いました。デラウェア州は登記が簡便だということで色々な試験の要件が外国人からすると優しかったです。ただ税のように主要な規制が今後もずっと一緒という訳ではないですよね。

齋藤氏:はい、税率や各種規制も変わっていくと思います。例えば「アメリカの不動産を所有すると相続の時どうなりますか」というご相談をよくいただきます。これも州毎によってルールが違いますので、このあたりも私どもはサポート業務の一つとして、この州であればこうなります、と説明させていただいております。

ベストセラー『日本のシン富裕層』著者のお勧めの国

雨森氏:結局のところ大森さんの一番オススメの国はどこですか。

大森氏:難しいんですよね。実際、良い国というのは税制だけで決めるものはないですし、環境や気候もあるので。個人的にはスペインのバルセロナが好きですね。何が良いかというと法人名義でもビザが購入できるということです。

雨森氏:なるほど、先程の第1部のお話ではスペインが出てきませんでしたが(苦笑)

ポルトガルの魅力

雨森氏:例えば、先程ポルトガルの話が出ましたけど、ポルトガルに住んで近いスペインに行くというのは可能なのでしょうか。

大森氏:実はポルトガルは不動産を買えばビザが取得できる、という制度は廃止になりまして今後はちょっと変わる予定です。なので、現時点でちょっとお勧めできるかどうか分からないですね。ポルトガルはゴールデンビザというものを取得したら、不動産を維持したり、投資をしていれば今のところ10年間は海外の所得に関して非課税の措置があります。

 ヨーロッパ圏ですから、国境を自由に移動できるので海外移住の入り口としてはお勧めかなと思いますね。

ギリシャにも注目

大森氏:最近、流行り始めたのが、ギリシャですね。25万ユーロ以上の不動産購入でビザが取得でき、結構安いですね。

雨森氏:ありがとうございます。人の話によると、ギリシャはあんまりご飯が美味しくないという話もあるのですが、いかがですか。

大森氏:私が行ったところだけ美味しくなかったかもしれないのですけれども、大体、冷めた料理が出てきますね。たぶんですが、国民性か分からないですけど、段取りよくするのがちょっと苦手なのかもしれないですね。

 ただ、ビザは取得しやすいし、ギリシャから他の国へ行きやすいです。シェンゲン協定地域内は、基本的に移動が自由ですので。

雨森氏:ありがとうございます。ユーロ圏は移動がしやすいですから、そういう意味では拠点としてギリシャを押さえるというのもありだということですよね。ちなみに私が昔、ヨーロッパをバックパック背負って旅した際、チェコとかハンガリーとか、あのあたりは世界遺産が多くて、住むのに良いのではないかと思いましたが、いかがでしょうか。

大森氏:ゴールデンビザの制度を設けている国はいわゆる「PIIGS」(EU加盟国の中で財政状況が相対的に厳しい国、ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインの頭文字をとった言葉)でして、財政的に厳しい国が立て直すためにゴールデンビザは作られた側面がございます。ゴールデンビザがない国は我々も手が出せないので、サポートしていないですね。

雨森氏:そういう歴史的な背景があって、ビザが取りやすい、取りにくい国もあるということですね。やはり身近なところでASEANの中で大森さんお勧めの国はありますか。

ASEANでお勧めの国

大森氏:物価でASEANを考えるとシンガポールを100としたらドバイは以前は60くらいでしたが、最近上がってきて80から85くらいです。物価が高くなると家賃も高くなります。マレーシアは大体40~45くらいでタイが50くらい、フィリピンが30くらいの物価水準なので、そう考えた時にはタイが一番バランス取れて親日ですし、食事も合いますから、今はタイがお勧めですね。       

 完全居住した後に税制がどうなるか分からないですが、もしかしたら居住しないまま(非居住者のまま)先に不動産を購入してから居住すれば課税を回避できるのかもしれませんね。住んでから購入したら資産の持ち込みになり課税されてしまいますから。

子供教育の観点でお勧めの国は

雨森氏:英語教育が国内でも進んでいく中で、親子留学というのは少なくないニーズがあると思います。奥さんが教育熱心でお子さんを連れて海外に行くというケースがあると思います。どこの国がお勧めでしょうか。

大森氏:一番人気はハワイですね。ハワイで親子留学するために「保護者ビザ」が本当はあればよいのですが、ないので、大抵奥様が無理やり大学に通ってお子様を一緒に連れて行くパターンでビザを取得されます。

 そうなると大体奥様は子供の送り迎えをしなきゃいけない、自分の大学にも通って大変ですよね。なんとかならないか、という問合せをよくいただきます。

 その場合は旦那さんが現地の飲食店を購入したりして、経営者として滞在して、お子様と奥様はその扶養家族で旦那さんは居住義務がないんで、日本に住んで仕事をそのまま継続できます。

 一番メジャーなのはオーストラリアで基本的に保護者ビザがあるので、お子様が18歳になるまではずっと滞在し続けることが可能です。現地を気に入った方は永住権を取得したりしますし、相続税もありません。

 あとはシンガポールやマレーシア、タイも親子留学できます。

オープンハウスの海外不動産販売事情

雨森氏:オープンハウスではアメリカ以外の国の不動産販売も検討しているのでしょうか。

齋藤氏:弊社の代表も世界中を飛び回って魅力的な国がないのか常に見ています。ですが、結局いつも色々なところに行って帰ってきて言うのは「やはりアメリカ」だと。これはカントリーリスク、通貨リスク等を含めると、やはりアメリカになります。日本人の方に他の国の通貨をご提案する時にはまずドル、ということと同じですね。

雨森氏:安心安全、通貨的にもドル、アメリカが良いということですね。

齋藤氏:それとアメリカの不動産市況というのは非常に透明性が高いです。例えば「この物件の本当の価値って幾らなの?」というのは不動産業者でない素人の方が見ても全部AIで算出されてますから、外国人も非常に不動産投資がしやすい国になっています。

雨森氏:アメリカの不動産を持つタイミングはいつが宜しいでしょうか。

齋藤氏:「実需」に関しては欲しい時だと思いますので、お手元の資金に余裕があって、今欲しいなと思っていただいたら、その欲しい不動産を購入してしまってよろしいのかなと思います。

 「投資」という観点で言うと不動産価格が上昇しそうなエリアなのか、そうではないエリアなのかがあります。税金対策という面で見れば、税金対策したいタイミングだと思いますので、後ろ倒しにすることはしなくてよいのかなと思います。

 ただ、キャピタルゲイン(売買差益)を狙っているのであれば、様々なデータをご用意しておりますので、「もう数年後に購入いただいても良いのではないのか」と、エリアと不動産の種別によってアドバイスしております。

 あとは資産分散という観点で言うと、ほとんどの資産を円でお持ちだと思いますが、これをドル資産に分散していくわけですから、今の為替も気になると思います。

 ただ、為替が今が円安なのか、円高なのか。これは私ども含めてお客様もお悩みになられている方は多くいらっしゃいますが、事実としては直近この1年間は非常に、一般的には円安に振れてきた。しかし、アメリカ不動産の売れ行きは好調です。そうしたお客様の動きを見ていると、より円安傾向に振れていくのではないかというお考えの方が何となく多いような気がします。

アメリカ不動産購入にかかる手数料は

雨森氏:アメリカの不動産を購入したときにかかる手数料について教えてください。

齋藤氏:物件価格の約5%になります。内訳といたしましては5%のうちの3%、これがオープンハウスの日本法人で頂戴しております。コンサルティング費用という名目です。仲介手数料に考え方は近いと思います。残りの1%は融資を使っていただいた際、融資の手数料等が約1%、残りの1%はエスクロー費用と呼ばれてまして、アメリカの不動産の場合は公正中立な第三者機関が間に入りまして、決済までの手続きをサポートしてくれます。

 イメージしやすいのは、日本でいうところの登記を担当する司法書士の先生に払うような手数料というふうにイメージを持っていただければと思います。これで合計約5%、現金一括購入であれば、約4%の諸費用がかかってきます。

住民税の1%を海外へ移住することによって節約できる

雨森氏:最後に大森さんにお話を伺いたいんですけど、第1部でお話されていた住民税の話ですが、これは意外と盲点でした。住民税が5%ということで、仮に10億で会社を売却したら5,000万節税できてしまう。実際に大森さんのお客さんで節税できた方はいらっしゃったのでしょうか。

大森氏:いますね。お客様が相談に来られてビザの手続きの説明をした際に「いつ海外に出られますか」と聞いたら「来年の頭かな」と言われたので、「いつ会社を売却されたんですか」と聞いたら、「6月です」と。その方は不動産会社の売却で20億位の譲渡対価がありました。

雨森氏:20億だったら1億節税できますね。

大森氏:その後、多少無駄な費用がかかっても、海外に移住しようとなり、1ヶ月ぐらいで手続きしました。

雨森氏:ちなみにどこの国ですか。

大森氏:その方はカナダでした。比較的ビザが取りやすいので、短期間で取得しました。20億のうち、1億は大きいですからね。

 税理士の先生はこういった情報について聞かれたら答えるとは思いますが、質問ばかりされても自分の手数料が増えるわけではないので、なるべく触れないようにしているのではないかと思います。

雨森氏:ありがとうございました。

(注)本記事の内容は2023年10月13日時点での情報です。